夜のとばりが降りる頃。吹きすさぶ寒風をものともせず、次々と人が集まってくる。大阪ミナミの繁華街、というよりは電気街として知られる日本橋から歩いて数分の場所にある、今宮戎。新年あけての一月十日は「十日戎」として知られてい …
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カテゴリー:短編小説
ある条件
これはそれほど近くも遠くもない未来の物語である。ただし、れっきとしたフィクションであり、現存する人物、組織、団体、宗教、国家、社会、学問体系(特に遺伝子工学、機械工学、医学)及び小説・マンガ(特にサイバーパンク系)その他 …
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色彩
「あら?」 それはキンモクセイの香りのする、とある秋の土曜日の朝の事でした。いつものように北海道バターと好物のブルーベリージャムを塗った6枚切りの食パンをかじっていた私の目の前、そう、距離にすればほんの二、三十センチ前 …
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私だって・・・
PART1 俺は宇宙の飛ばし屋。スピードこそが命。 何人たりとも俺の前を行く事は許されない。 何人たりとも俺が後ろに引き下がる事はない。 アイ アム ア チャンピオン! 見よ!俺のテクニック。俺のスピード。俺のパワー! …
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あのねぇ・・・
目が覚めた。 そこは暗く、何も視界には入って来なさそうな寂れた空間だった。 周りをキョロキョロと見回してみたが、やはり第一印象に違えずそこには何も見出せなかった。 と、不意に若い女の泣き声-それも啜り泣き-が耳に飛び込 …
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島流し片道切符 ~イマジノ・スコープ~
おや、あなた見かけない顔ですね。ああ成程、今日着いたばかりですか、道理で・・・。私ですか?そうですね、もうかれこれ3週間ぐらいになるんじゃないかな。まあここでは日付けなんて関係ありませんがね。お互いこの世界へ来た者同士 …
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ケサランパサラン
そいつは不思議なものの様に僕の目には映った。白くてふわふわした毛玉の様なもの。小さくて手の平の上で転げ回る不思議なもの。人知れず、どのようにかして仲間を増やすもの。何を食べているのかは誰も知らない、どういった行動を行うか …
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黄昏の街に日は暮れて
「お久し振りね。何年振りなのかしら?」 それが数年ぶりに再会した彼女の最初の言葉だった。 「さあ、二年か三年か・・・忘れちまったよ。」 実際は忘れようのない年月だが、あの日のことがあるが故にそう言わざるを得なかった。俺 …
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俺は誰だ!
「デートして下さい!」 俺はいきなりそう切り出した。一体何故こんなことを言い出したのか、また何の脈絡があるのかは本人すらわからない。ただこの時わかっていたのは、俺がなんとなくヤケになっていたのと、空が素晴らしいほど青く …
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時間 ~Long Long Time~
私はロボット。長い長い時の流れの中を動いてきたロボット。いつも一人だけ取り残されてきた。体の中では錆びついた歯車がギシギシと音をたてながら回り、弱り切った燃料電池は流す電気量を減らしてきている。まるで私に反抗しているか …
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