CJ Extra for NHK After Report ~アヒスト再び~

発端
 2/10。昨日のAC1に引き続いて、NHKの取材のためにFCSをやるというので、やって来たのがここ、新大阪コロナホテル。今日のは簡易版なので、 最初から異星人設定も作られたものがあるようだ。9:00開始だと聞いていたので8:30過ぎにホテルに着くと、そこにいたのは林さんと大井さんだけ。あ れ?他の人はまだ?
とりあえず3人で机を並べているうちにNHKスタッフが到着。1部屋しか借りていなかったCJ側に対し、
「FCSやるのなら2部屋あった方がいいですよね。もう一部屋借りましょう」
と借りてくれる。さすがはNHKだ。
で、人もだんだん集まって来たので、チーム分けをする。あ、私は今回異星人側か。では地球人のみなさん、さようなら。と地球人が全員出ていったところ で、異星人なんだけど・・・あの~、これってCJ4のアヒスト・・・あの時、私は地球人側で痛い目に遭わされたんですけど・・・。まぁ、いいか。「これも 経験だ」と割り切り、アヒストの設定を思い出す。
「確か無顎類から進化して、性は2つ。卵生でバカみたいに人口が増える。産児制限とか血縁重視はタブー」だったよね。これがどれだけ役に立つのかわからないけど。
9:30。FCSが始まる。生物設定はアヒストだけど、それ以外の設定が明かされる。まず、居住しているのはくじら座タウ星。タウ・セチとしてSETI では有名な恒星である。この星は地球人にとっても探査対象になっているので、すでに電波文明は脱していて、ここ100年くらいは電波発信を一切行っていな いことにする。
また惑星の数は7つ。そしてその第2惑星に我々は住んでいる。

プレ・コンタクト
 これよりアヒスト・モードに入る。但し年は地球の西暦、単位系は地球の標準的な単位系である。

2040年、我々は滅亡の危機に瀕していた。医療技術の進歩により、もともと多産であった我々アヒストは、人口が爆発的に増え始めたのだ。計算すると単 純計算でも40年の一生の間に2人で始まった一族が1万人を越えるため、どこかに移住先を求めることになり、恒星間探査・移民船の開発に力を注いできた。 そしてようやく完成の目途が立ち、以前から調査を続けており、知的生命体が存在すると考えられる惑星系にメッセージを送ることとした。この惑星系は牛飼い 座のはずれ、冠座との境界方面に10光年ほど離れた場所にあり(この星座は便宜上そう書いているだけであり、実際にタウ・セチからは全く異なった配列にな るはずです)、ハビタブルゾーン内にある第3惑星からかなり強力な電波が発せられていることがわかっている。第4惑星もゾーン内にはあるが、電波強度自体 は大したことがないので、おそらく彼らは主に第3惑星に住んでいるのだろう。

我々はかの星系に対し友好と移住したい旨を伝えるメッセージを電波で発信するとともに、恒星間探査機の建造に着手した。メッセージには相手星系の惑星の軌道半径と赤道半径を示すグラフ、そして我々アヒストの挨拶のポーズ、さらには第3惑星と第4惑星の上に同じ絵を置き、
「この惑星にすんでいるのか?」
と問い合わせるつもりのメッセージを送信した。サイズは1023×1023ドットという、かなり大きなものである。

10年後、2050年。恒星間無人探査機が完成した我々は20年後に着くように、0.13G加速を行うよう設定して相手星系に向けて発射した。当然、探 査機を送ることは相手に知らせる。相手星系で停止する(正確には人工惑星となる)探査機は、親機が母艦機能を持ち、通信の中継などを行う。同時に詳細な観 測を第3及び第4惑星に対して行うための子機2機、さらにバックアップ用に1機を積んでいる。
また同時に移民用コールドスリープ併用恒星間宇宙船の建造を開始した。これは探査機の設計をベースに大型化したものであり、20年後に完成の予定である。
この年、周期律表、我々の生体組成表、地質学的データ、大気組成・表面地質情報などの惑星環境データを送信した。相手がこれを解釈して、我々の母星に対する知識を得て、我々とよりよい関係を持ってくれることを望んでいるのだ。

2060年。そろそろ最初の返事が来る頃である。我々は次のメッセージを準備しつつも、彼らからの返信を待った。そして翌年、待ちに待った彼らからのメッセージが到着した。その内容は
1)第3惑星にのみ相手の姿らしきもの
2)我々の星系に我々の姿(第2、3惑星両方に)
これは第3惑星だけに居住しているという意味だろうか?それとも・・・少なくとも②は我々が恒星系の中のどちらかに住んでいるのだろうと考えていることを示している。すると、ただ単に向こうは第3惑星にのみ居住しているとも受け取ることが出来る。

明けて2062年。我々は先年のメッセージに対する返答を送ることにした。それは下のようなものである。
1)我々の星系(第2惑星にのみ我々の姿)
2)相手の星系(第3に相手、第4に我々の姿。上に)
これで我々は恒星系の第2惑星に居住していることを示し、相手側の恒星系の第4惑星に住みたい、若しくは行きたい旨を示した。
また同時に共通のコミュニケーション基盤を構築するために、文字、数字、演算記号、論理記号、単位系を送信する。これを2070年まで送信することとした。

2065年。2060年から逆噴射を始めた探査機を相手が観測可能になる。これで我々が向こうに対して探査機を送っていたことが我々の通信以外にもはっきりとわかるはずだ。

2070年。遂に待望の移民船が完成した。ちょうど探査機も先方に到着した頃である。我々は探査機からの結果が帰ってくる10年後に出発することを決 め、もう一隻の宇宙船を建造することにした。2隻体勢であれば、万が一どちらかがトラブルを起こしても、相手の恒星系にたどり着ける可能性が高まるから だ。また、あらかじめ出発前に予告を送ることにした。それは「第4惑星まで行きます。そこで会いませんか?」という意味のメッセージである。

しかし、気になることもないではない。向こうからのアプローチがあんまりないのだ。こちらから送ったデータに反応し、返答が来るまで最低20年かかるの は理解できるが、それにしても情報の露出があんまりないような気がするのは気のせいか?とはいえ、我々には残り時間や選択肢が限られているのだから、これ はもう仕方がない。

2080年。2隻目の宇宙船が完成するのと同時に、ついに待っていた探査機からの結果が返ってきた。その結果、第4惑星は大気が薄く、居住には適さない ことがわかった。また都市らしきものはないが、小規模な文明活動が認められた。一方第3惑星の方は窒素と酸素からなる大気を持ち、都市と大規模な文明活動 が見られた。当然我々の生存にも適した環境だ。だが相手の母星でもあるため、ここに移住させてもらえるかは交渉次第となる。
一刻の猶予もない我々は、この探査結果を受け、早速宇宙船を発進させることにした。2隻の船の1隻目には人員500人と居留地建設用の資材を、そして2隻 目には人員ばかり1000人を搭乗させ、20年後の2100年に到着するスケジュールで送り出した。当然のことながら、向こうでの居留地建設には技術者が 欠かせないので、かなり比率が高くなっている。
同時に母星側からは相手側に対し2100年に到着予定であること、そして第4惑星で会いましょうと言うメッセージを送った。また、まだまだ移住先を模索するとともに、移民を継続しないといけないので、3隻目の建造を開始する。

2082年。新しいメッセージが到着した。しかもこれは探査機を経由してきたものらしい。どうやら彼らは探査機を有人であると勘違いしてしまったよう だ。内容はどうやら第4惑星で会いましょうとも受け取ることの出来るもの、そして第4惑星表面上の地図である。ちなみに地図だとわかったのは、先年に探査 機から送られてきていた地図と一致したからである。ここで会談を行うつもりだったのだろうか?少なくともコンタクトには積極的らしい。これならば、先に発 進した2隻も先方の恒星系で無事コンタクトが出来るに違いない。

と、ここで時間がやってきたので、今回はコンタクトなしとなった。

反省会
 さて、反省会である。まず、今回のコンタクト全体に言えることであるが、先日のAC1の結果が反映されていたのは言うまでもない。どんな際にも相手の不 信感を招かないために、アヒスト側は何かを送る際には必ず予告を出した。また、フライバイ型の探査機はほとんど役に立たないであろうと言う結論から、相手 星系で停止するタイプのものが採用された。
地球人側からは新しい提案があった。短い期間で質問をするのは難しい。そこでとりあえず「これが事実なんだろう?」と突きつけてみる。もし間違っていれ ば、訂正されて返ってくるだろうというものだった。全ての項目についてこれらが使用できるかは判断が難しいところだが、少なくともアヒスト側は訂正した情 報を送り返したのだから、地球人側の意図は成功したと言って良いだろう。

しかしそれ以外には結構厳しい意見も出た。まずアヒスト側の出した最初のメッセージだが、地球人が第3、4惑星に住んでいるという事実の確認と同時に、 我々がそこに移住したいという意図を伝えたつもりだったが、これが相手には伝わらなかった。複文にしてしまってはわかりにくいということだ。つまり、最初 のメッセージは
「挨拶」
「相手星系の姿を示すという事実」
「第2、第3に住んでいるのか、という質問」
「そちらに移住したい、という希望」
と最低でも4枚は必要だったということだ。これを1枚で済ませてしまったのは、確かにわかりにくいかもしれない。以降についても同様である。また途中から地球人側のレスポンスが落ちたのは、我々の探査機が有人だと勘違いし、
「どうせ来るのなら無理に通信なんかしなくても、相手が来てから会見して訊けばいいや」
と、待ちに入ってしまったためであった。そういう意味ではこちらの動きは性急にすぎたのかもしれないが、かなり逼迫した状況を設定されてしまったため、や むを得なかったと言うべきかもしれない。あんまり厳しい初期条件を与えると、コンタクトは可能かもしれないが、プレ・コンタクトがおろそかになる可能性を 指摘されたわけだ。